先週は、クマシにて、モバイルCT(HIVカウンセリング&検査)とユースフレンドリーサービスの勉強会に郡のナース、助産師と参加してきました!
内容は、1.モバイルCT概要
2.CTに必要な資材・人材について
3.コミュニティにおけるモバイルCT実施の方法について
4.ユースフレンドリーサービスについて
3日間、ホテルに缶詰で勉強してきました!以下に報告しまーす!
1.開催の言葉、自己紹介、開催目的、グランドルールの確認をしたうえで、モバイルCTの概要について、Family Health International(FHI)から講義が行われた。
まず、ガーナのCTの現状について説明があった。ガーナの人口は約2200万人であり、そのうちの約10%がHIVステータスを知っているとされている。国のHIV感染率は2007年の時点で1.9%推計されている。HIV検査を受ける大多数が、他の疾病・症状の診断による検査の推奨であり、健康な人が自ら進んでHIV検査を受けに行くことは非常に少ない。また、典型的なガーナ人は多少の不調や病気では、医療機関を受診することを嫌がる人が多い。
ガーナにおいて、HIVカウンセラーのほとんどは医療従事者である。
本年より、HIV検査は無料となったが、クライアントの待ち時間や交通費などを考慮すると、コストは存在する。
ガーナ政府は2010年までに国民の30%がHIV検査によりHIVステータスを知ることを目標としている。これを達成するためには、モバイルCTにより、医療機関にアクセスが難しいエリアや、健康で医療機関に行く機会の少ない人々へアプローチすることが重要である。
CTはHIVのケア・サポートの入り口である。結果が陰性であっても、カウンセリングを通して、クライアントに教育をすることで、今後の危険行為の発生を軽減することができる。また、HIVとエイズに対して正しい知識を伝えることで、差別・偏見の軽減にもつながる。
講義後の質疑応答で、10代の若者に対する接し方が話題になった。ガーナでは16歳未満のクライアントがCTを受けるためには親の同意が必要である。親や親戚、友人などの同伴がある場合は、秘密保持の原則について理解を得ること、また同伴者にも丁寧なカウンセリングを行うことが重要である。また、母子感染予防のための妊婦のHIV検査に関しては、16歳未満でも親の同意なしでも検査ができる。しかしながら、ほとんどの場合、10代の妊婦検診には親や親戚が付き添うことが多い。この際も、同伴者にもカウンセリングが必要となる。特に妊婦検診の場合は、クライアントの親でなくパートナーの親や親戚が同伴するケースも多く見られるため、誤解から差別や偏見を招かないよう、より慎重にアプローチする必要がある。
ある郡では、エイズにより親をなくした子供が親戚に引き取られ、親戚がその子供の検査を強制的に行おうとし、偏見から、子供の育児を放棄することがあった。このような場合には継続的にカウンセリングを行い、必要に応じ、孤児院を探すなど支援をする。
2.「自主的にHIV検査に来る人が一日何人いるか」ファシリテーターから質問が投げかけられた。多くの参加者からは「ほとんど誰も来ない」という声が聞かれた。
そのため、モバイルCTが重要であることが再度ファシリテーターより説明された。
そして、モバイルCTを行うために必要な人材について話された。最低2人のカウンセラーが必要でそのうち一人はナースなどの医療従事者が望ましい。それからコーディネーターとドライバーが必要である。これらは兼任も可能で、実際必要な人材は多くない。
また必要な資材はチェックリストを作成し、毎回漏れなく準備できるようにしておく。すべて自分たちで用意しなければならないわけではなく、実施するコミュニティと協力し合い、コミュニティの中で使える施設や者があれば提供してもらうことも可能である。
モバイルCTを実施するにあたって、最も重要なのは、紹介先となる医療機関との密な連携である。医療機関にモバイルCTを実施することを予め伝え、陽性者や継続的な支援が必要なクライアントが出た場合には、受け入れ先となってもらうことを約束してもらう。また、クライアントに医療機関を紹介するときには、どこの誰宛か、はっきりさせておく必要がある。この紹介と継続支援のシステムがきちんとしていないとクライアントに不都合や不利益が生じる。
また、毎回きちんと評価・反省を行い、文書化することも重要だ。これをやらないと、その場限りのイベントで終わってしまい、今後の活動に活かされない。
検査の質管理に関しては、陽性確認は2種類の検査キットで行い、陽性反応の3回に1回の検体と陰性反応の10回に1回の検体を病院などの高次検査施設に提出し、検査の妥当性と信頼性を確認する必要がある。
講義後のディスカッションでは、医療現場において、医療者同士でも、同僚からの偏見があること、医療者自身も自分のステータスを知らなかったり、知ることを恐がることが話題となった。
ガーナでは、一夫多妻も可能なため、複数のパートナーがいる中で、そのうちの1人がHIV陽性とわかった場合の秘密保持や他のパートナーへの予防の実践の難しさが話し合われた。
また、若者の間で、HIVの感染が広がる中で、未婚者や子供のない夫婦において、将来の結婚や出産に関する不安が強くあるため、それら人に対して、希望を失わせるようなアプローチを決してしないことなども指摘された。一度でも、個人の権利を否定するような発言をすると、そのクライアントは二度とそのカウンセラーのところへは戻ってこないため、フォローアップができなくなり、危険な行動に移る可能性もあるということだ。
3.モバイルCTをコミュニティで実践するにあたって、まずは、コミュニティにおける協力者を探すことが重要となる。その上で、チーフやクイーンマザーなどにアプローチし許可を得る必要がある。コミュニティの権力者や管理者に理解を得るためには、なぜこの活動がこのコミュニティにおいて重要であり必要であるかを説明する必要がある。コミュニティとうまく協力しあうことで、必要施設や資材を全て主催者が準備しなくても、コミュニティに存在する施設や資材を利用することが可能となる。
サービスの実施に関して、誰を対象とし、どのように人を集めるか、どの時間帯が適切か、コミュニティの状況を考慮し、コミュニティの協力者とよく相談し、設定することが必要だ。
☆まとめ☆
参加者がHAPE対象郡からのHIVカウンセラーだったため、現場での実情や課題などについて多くの経験を共有し、話し合うことができ、非常に有意義な時間となった。
モバイルCTはガーナにおける、CT受検者数増加の目標を達成するための一つの手段である。しかし、依然として質の管理やプライバシーの確保の難しさなどの課題がある。質の管理やプライバシー及びコンフィデンシャリティの確保については、普段の医療機関で行われているCTでもなかなかできていないのが現状であるため、それらを改善するための必要な環境整備、人材育成、資材供給も重要である。
本トレーニングはTOT(Training of the trainers)形式だったため、参加者が各郡へ学んだ内容を持ち帰り、これらの知識を広める役割がある。各郡での人材育成及びCT実施に際し、エイズ対策ボランティアはこれらの活動を今後も継続的に支援していくことが期待される。
普段、郡のナースとゆっくり話したり、体験や考えを聞く機会があまりなかったので、現場で何が起きていて、何が問題か、理想と現実のギャップ、課題が見えてとてもよい機会だった。
うちのナースたちはとても積極的で、一番発言していたくらだった。
やっぱやることやっているし、資材・人材不足でなかなか目標達成できないのだけれど、
彼らのおかげで、医療は成り立っていると改めて感じた。
もっともっと、現場に足を運んで彼らを支援していきたいと思う。
ガーナと日本、やはり、ロジ面でも、CTの質、プライバシー、コンフィデンシャリティなどかなりの環境の違いと意識の違いが見られる。
単なる受検者数の増加のみでなく、クライアント主体のクライアントの本当の利益になるHIVカウンセリング、検査にしていくためにはどうしたらいいのか。
私たちガーナのエイズ対策隊員は模索しています。
それを知り、実行するために、CTの質に関する調査をします。
調査をするために、明日から統計やデータ分析の勉強会をアクラで開催してきます!