先日KBSの授業で、外国からの介護人材の受け入れについてディスカッションをしたとき、途上国における頭脳流出を問題視して、反対意見を述べました
しかし、私の熱い想いに反して、クラスの人達は、あまりピンと来ていない様子でした(自分の感覚のズレを再認識…(汗))
私以外に発言した人は、医師などの医療関係者やビジネス関係者でしたが、
現場レベルでの文化の違い等に関する懸念を挙げた人はいたものの、
おおむねみなさん賛成意見で、どちらかというと積極的に受け入れる、という考えのようでした
おそらく私の説明も十分ではなかったのですが、
発言の背景としては、ガーナに住んでいた頃、圧倒的な医療人材の不足により、医療提供体制が整わないために
多くの助からない命を見てきて
それを解消しようと、公費を注ぎ込んで優秀な人材を育てても
米国・英国をはじめとする先進国に毎年それ以上の人材が流出し、
国内の医師・看護師数は過去10年でまったく増えていない、という状況に
ものすごい理不尽さを感じ、また自分の無力さを痛感した経験から
この問題に対しては、個人的な想いが強すぎるのかもしれません
また、アジアとアフリカの経済や医療の状況は異なるので一括りにはできないのですが、本質は同じだと考えています
もちろん日本の介護人材不足は深刻で、年々需要が増す中で
その確保は急務であることは確かです
しかし、日本に介護人材として来る途上国の主な人々は、現地の看護師等なんですよね
そして、これらの送出国では、前述のように、日本以上に医療人材が不足しています
日本の人材不足からは考えられないレベルの人材不足です
(Linda H. Aiken, et al. Trends In International Nurse Migration, Health Affairs, 2004 )
日本の対10万人就業看護師数は、2014年度で855人、准看護師を合せると1000人超なので、米英などと同水準といえると思います
総数でみるとわかりにくいかもしれませんが、途上国における都市圏と地方の経済格差は、日本より格段に大きいので、多くの場合、医療人材も都市に集中しており、無医・無医療者地域がとくに地方にたくさんあるのです
要するに、自国の人材不足のために、自国よりさらに人材が不足している国から、その国の医療等を担う貴重な人材を受け入れるという発想は本当に最善なのだろうか、ということです
正解があるわけではありませんが、かなり慎重になる必要があると思いますし、もっと議論されるべき問題だな、と思っています
国際移住期間のページにわかりやすい解説があったので興味のある方はご覧ください
http://www.iomjapan.org/act/act_021.html