現在、ガーナにおける6郡にて、HIV検査のカウンセリングの質・プライバシーと個人情報保護について調査をしています。
ガーナでは、自らのHIVステータスを知っている人が約10%と言われる中、政府が、もっと多くの人にHIV検査を受けてもらおうと、キャンペーンをしています。
しかしながら、現場にいる隊員の中には、数を上げることも重要だが、肝心な中身やフォローアップはどうなっているのだろう?という疑問の声がありました。
個人情報を煩雑に扱う現場に遭遇したり、プライバシーが守られているのか疑問に思う場面に直面しつつも、文化や考え方の違いもあり、双方に混乱がみられることもしばしば。
そこで、今回は、UNAIDSやWHOが国際基準としている指標をもとに、調査を設計し、
カウンセリングの立会い、クライアントへのインタビュー、カウンセラーへのインタビューを元に、この調査をすることとなりました。
ガーナに来たばかりのころは、日本でのHIV検査の環境とは大きく異なり、
コミュニティの広場でなんの囲いも仕切りもない場所で検査をしようとする人があれば、
大そう驚いたもので、プライバシーや個人情報の話し合いをして、
お互い現場で調達できるもので工夫しながら
歩み寄ったりしてきましたが、
実際、クライアントの声を聞いてみても、
感想は様々で、
他人の目があっても気にしない、と言う人もあれば、
人に見られる環境では行きにくい、という人もいます。
しかし、気にしない、と言う人は大抵、結果が陰性だとわかった後でそう言うので、
もし、結果が違えば、見方も違うと思います。
この日は職場から片道2時間かかる村にある、魚の養殖会社へ検査に行きました。
この村は、ガーナのイースタン州で主に話されているチュイ語ではなく、エウェ語のコミュニティだったので、エウェ語を話せるカウンセラー1名、チュイ語のカウンセラー1名をつれて行きました。
到着して、カウンセリングと検査所を設置し、カウンセラーから、HIVの感染経路などの基礎知識、予防法などについて講話がありました。
そして、いよいよ、検査受付を開始したのですが、なかなかみんな来たがらない。
来たがらない理由を聞くと、
「もし結果が陽性で上司にばれたら首にされる」
ということでした。
私たちは、
「結果を本人以外に知らせることはないです」
と繰り返し説明しましたが、それでも、
「もし社長が大金を払ったら、教えるだろ」とか、
不安に思う人もいるようでした。
また、「同僚の目があるから検査に行きにくい」
という人もいました。
これらの声からも、やっぱり、個々で感覚の違いはあるけれども、
プライバシーや個人情報に対する配慮をきちんと払うこと、そして、それがきちんと守られるということをクライアントにもっとわかりやすく伝えていくことが必要だな、と感じました。
肝心な、カウンセリングセッション自体については、
知識、態度、技術など、どれも、とても高評価でした。
やっぱ、うちの郡のナースは、ガーナでも有数の優れた人たちだと、
勝手に、誇りに思っています。